どうして日付変更線は太平洋の真ん中にあるの?

日本からアメリカへ向かう飛行機の中で、隣の乗客が窓から下をのぞくようにしながら、ブツブツつぶやいている。「どうかしましたか?」と声をかけると、「日付変更線を見ようと思いまして」と答えたという笑い話かある。確かに、日付変更線は太平洋の真ん中にあるが、念のために言っておくと、じっさいに太平洋上に線が引かれているわけではない。

ご存じのように、地球の経度の基準は、イギリスのグリニッジ天文台を通り、北極と南極を結んだ線。それを基準線として「0度」としている。すると、西回り、東回りに、それぞれ180度、ちょうど地球の反対側で12時間の時差ができる。その線を一日の終わりとして、日付変更線としたのである。それが、太平洋の真ん中にくることも好都合だった。小さな島々をのぞいて、人が住んでおらず、日付が変わっても不便な思いをする人が少なかった。

もっとも、この日付変更線は、北のアリューシャン列島(アメリカ)とカムチャッカ半島(ロシア)の間、南では、ニュージーランドの東方で、一部曲がっている。同じ国のなかで、日付が変わることを避けるため、曲げられているのである。ちなみに、太平洋上を飛ぶ飛行機によっては、機内で「ただいま日付変更線を通過しました」とアナウンスしてくれる。

宇宙から見える国境線がある?

「地球は、青かった」と言っだのは、人類初の宇宙飛行士ガガーリン。地球は、陸地と海の割合が3対7で、むしろ「水球」と呼ぶ方がふさわしいが、宇宙船が地球に接近するにしたがって、山脈や砂漠、大平原など、陸地の様子もよく見えるようになる。宇宙船から送られてくるそんな地上の映像を見ながら、「宇宙船から見る地球には、人類が勝手に引いた国境なんて存在しない」という人がいる。ところが、その画像をよく見ると、地球上には国境がはっきり見えるところもあるのだ。

たとえば、アメリカの南カリフォルニアとメキシコの間には、「国境線」がくっきりと存在している。というのは、アメリカ側には、灌漑(かんがい)された農地が広がり、季節によって青や茶色に見えるが、一方のメキシコ側には未開発の荒れ地が広がっている。その境目が、まるで国境に線を引いたように見えるのである。国による経済力や農業技術の違いが、地球に国境を浮かび上がらせている。

— posted by 斗間下 at 12:43 am