「日本海」は、英語で「Japan Sea」と呼ばれ、欧米で作られる地図にもその名で載っている。これに対して、異議をとなえているのが韓国である。韓国では、その海を「東海」と呼んでおり、なぜ国際的に「日本海」と呼ばれるのかと抗議している。しかし、もっと大きな海洋の区切りでは、「日本海」も、「東海」も出番はなし。太平洋の一部ということになる。国と国の間に国境があるように、海と海の間にも境界線がある。その境界線を決めた「国際水路機関」の基準によると、太平洋とインド洋の境界は、以下の通りといっても、これを地名でたどるのは、よほどの地図マニアでなければ難しい。興味のある人は、地図を見ながら確認してほしい。
では、改めて、太平洋とインド洋の境界をたどると、まずミャンマー、タイ、マレーシアの西岸沿いに南下して、シンガポール南端まで。それから、マラッカ海峡を含み、スマトラ島西岸からジャワ島、スンパ島を通る。ロティ島からオーストラリア北西部のダーウィン近くにあるロンドンデリー岬に至り、オーストラリア西岸を南下。さらに、オーストラリアの南岸に回ってアデレードを通り、オトウェー岬からタスマニア島グリム岬へ。タスマニア島西岸を通り、最南端のサウス・イースト岬から南極に至る東経146度49分25秒の経度線となっている。
また、太平洋と大西洋の境界は、北アメリカ大陸から南アメリカ大陸の西岸を南下。最南端のホーン岬から南極大陸に至る西経67度16分の経度線である。したがって、国際基準では、日本海もオホーツク海も東シナ海なども、日本周辺の海はすべて、太平洋に含まれることになる。ちなみに、大西洋とインド洋の境界は、ノルウェーからフランス、スペイン、アフリカ大陸の西岸を南下。さらに、最南端のアガラス岬から南極大陸に至る東経20度の経度線となっている。
白夜の見れる南極圏と北極圏はどこから?
かつてヒットした「知床旅情」という歌がある。この中に「白夜は明ける」というフレーズがあり、かつて物議をかもしたことがあった。「白夜の季節はいつ?」「白夜は本当にあるの?」という問い合わせが、知床の関係機関に殺到したのである。白夜といえば、一日中太陽が沈まなかったり、夜の10~11時頃まで外が明るいという現象だが、もちろん北海道でそんな現象は起きない。結局「知床の白夜」騒動は、歌の中の自由な表現ということで収まったが、そもそも白夜が見られるのは、北海道よりもはるかに緯度の高い北極や南極に近い地域である。
その中でも、太陽が一日中沈まない地域が、それぞれ北極圏、南極圏と呼ばれている。緯度でいえば、66.5度より高緯度の地域である。緯度が高くなるほど、季節によって太陽の出ている時間が変わり、緯度が高くなるほど、その傾向は大きくなる。そして、一日中太陽が出ているような状態が、白夜である。66.5度より高緯度の地点では、太陽の沈まない日と、太陽の昇らない日ができるのだ。白夜というと、体験したことのない日本人には、「一晩中、外が明るければ眠れないのではないか?」と疑問に思う人もいるが、厚手のカーテンを閉めれば、室内は真っ暗になるので、その心配はない。