トルコはアジア圏ですか?それともヨーロッパ圏なの?

サッカーW杯の「アジア予選」には、イラン、イラクはもちろん、カザフスタンやウズベキスタンも参加する。だが、イラン、イラクと国境を接するトルコは、「ヨーロッパ予選」に参加。2002年韓国・日本大会では、みごとに強豪ぞろいのヨーロッパ予選を突破して、本大会に進出した。では、トルコはヨーロッパの国なのかというと、地理的には、その国土の97パーセントはアジア側とされ、ヨーロッパ側は3パーセントしかない。

だが、トルコ最大の都市イスタンブールは、かつては東ローマ帝国の首都であり、今でもアジア諸国より、ヨーロッパとの結びつきが強い。まさに、トルコは、アジアのような、ヨーロッパのような、じつにあいまいな国なのである。人種的にみても、東西文化の接点に位置するトルコでは、長い歴史の中で混血を繰り返してきた。そのため、ヨーロッパ人に近い人もいれば、アジア系のトルコ人もたくさんいる。

また、母国語であるトルコ語や、国民のほとんどが信者というイスラム教をみると、今では西アジアとの結びつきの方が強いという見方もできる。しかし、その一方で、政治的にはイスラム諸国機構に属しながら、第二次世界大戦後にはNATOに加盟していた。したがって、トルコの政治的なスタンスとしては、西アジアのイスラム諸国とも、ヨーロッパとも、仲良くしていきたいということのようだ。ちなみに、トルコのサッカーが強くなったのは、ドイツに移民したトルコ人の子が、ドイツでサッカーをしながら成長。トルコ代表として戦うようになったからである。

北米・南米は大国なのに、なぜ中米は小さな国に分かれている?

アメリカ大陸の北と南は、つながっているか?海を隔てて分かれているか?と問えば、メキシコから南米大陸につづく地形を思い浮かべながら、「どうだっただろう?」と首をひねる人もいるだろう。事実は、ごく細くなりながらも、かろうじて陸地でつながっている。その狭い陸地を掘り抜いたパナマ運河で、太平洋と大西洋がつながっているのだ。メキシコの南のくびれたその狭い地形には、7つもの国が存在する。面積は、日本の約1.4倍しかないところに、グアテマラ、ベリーズ、ホンジュラス、エルサルバドル、ニカラグア、コスタリカ、パナマという7ヵ国が分立しているのだ。そうなったのは、支配者階級が各々の利益を優先した歴史があるためである。

もともと、中米の各国は、スペインの植民地だったが、メキシコの独立に刺激されて、ベリーズとパナマを除く5州が、1823年、「中米諸州連合」として独立。その後、分裂や統合を繰り返しながら、1838年に5つの共和国となった。しかし、その支配者階級は、植民地時代に富を蓄えた大土地所有者や大商人、軍人指導者たち。独立してからも、支配者階級の利益を守ることが優先され、お互いの利害が対立。結局、5つの共和国に分かれてしまったのである。

また、人種的にも、グアテマラにはインディオと呼ばれる先住民が多く、エルサルバドルやホンジュラスでは、スペイン系白人と先住民の混血が多い。さらに、コスタリカにはスペイン系の白人が圧倒的に多いなど、国によって人種が微妙にちがうことも、分立する一因となった。ちなみに、パナマは、1903年にコロンビアから独立。また、イギリス領ホンジュラスと呼ばれたベリーズは1981年に独立した。

— posted by 斗間下 at 01:11 am