健康保険は任意継続の手続きも
20代、30代女性に関心が高いのは「転職」女性誌で特集を組むと、その号はよく売れるそうです。親戚のM子も少し前に転職を経験しました。早速「困ったことは何だった?」と聞いてみました。
私の予想通り「社会保険の手続きがよく分からなかった~」との答えです。私の友人からも「年金と健康保険」の手続きで混乱して時々電話があります。転職時に知っておきたい手続きを見ておきましよう。
M子は前の会社を辞めてから転職活動を始めました。無職の間は原則「国民年金」と「国民健康保険(国保)」に加入する必要があります。ただし、次の会社に人るまで前の会社の健康保険を「任意継続」する選択肢もありです。
任意継続すると保険料は全額自己負担になりますが、上限額が設けられているのでフルタイムで働いている人は国保に自分で加入するより安くなるケースがほとんどです。国保の保険料は市区町村によっても異なるので、役所の国保係に問い合わせてから比較した上で決めるといいでしょう。住民税額を言うと大体の保険料を教えてくれます。
健康保険の任意継続は事前に会社から説明があり、希望すれば手続きもしてくれるものと思っていたら意外とそうでもないようです。M子も私から教えられて辞めてから慌てて社会保険事務所に駆け込んで締め切り当日に手続きしていました。
大企業と違って中小企業やベンチャー企業だと労務管理のノウハウが蓄積されていない所もあるようです。退職日の翌日から20日以内なら自分で任意継続できることをぜひ知っておいてください。
次に年金です。会社勤めの間は厚生年金(公務員は共済年金)ですが、転職活動中に無職になるなら国民年金へ種別変更して自分で保険料を納めます。再就職すると国民年金から再び厚生年金に変更となりますが、その手続きは転職先の企業がやってくれます。
辞めてから出費が重なるケースも
辞めて転職先を探す人、次の職場を決めて転職する人、どちらも知っておきたいのは社会保険の「基準日」のこと。月末最終日まで籍があると、その月は勤務先で社会保険、それより1日でも早く退職すると、その月は自分で国民年金・国保に加入となります。
例えば、31日が土曜日の月(仮に10月としましょう)の月末で退職するとします。最終出勤日は30日(金)、会社が31日(土)付で退職手続きしたなら10月分まで社会保険(厚生年金・健康保険)加入です。ところが、会社が最終出勤日の30日(金)付で退職手続きをすると10月分は自分で国民年金と国保の保険料を払わなくてはならないのです。
先の2つの保険料は原則、会社も半分負担しているので、経費にシビアな会社なら30日付で退職と処理する可能性もあります。一概には言えませんが、厚生年金のほう
が将来の年金額が多いので、1ヵ月でも長く厚生年金に入っている方がいいと私は思います。転職先では月末最終日までに入社していると、その月から社会保険です。
M子の失敗は住民税です。住民税は前年の収入にかかり、6月から翌年5月まで給与天引きされます。2月で退職したM子は人事部から残り3ヵ月分の住民税の納付書が区役所から送られることを聞いていたにも関わらず、すっかり忘れてお金を用意しておかなかったようです。
無収入の間に住民税、年金保険料、健康保険料と出費が重なり「転職先を決めてから辞めればよかった」と後悔していました。そして、こういう時のために貯金は必要なんだと痛感したようです。頭で分かっていても、経験して実感することってあるのですね。